2017年05月01日

ミッドナイトラントレ日記307 「中敷」

トレランシューズと一緒に購入したカーボンのインソールを、いつものゲルフェザーに装着して走ってみる。足裏の感触が硬いが、体の軸がしっかり定まった、ようなそうでもないような・・・
ま、慣れればそのうちわかるようになるんじゃないかな。

12.506km
5分44秒/km
1時間11分51秒
818kcal
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2017年04月30日

ミッドナイトラントレ日記306 「試走」

次走は初挑戦のトレランレース、「経ヶ岳バーティカルリミット」。
購入したトレランシューズで、いつものコースを走ってみる。
ノースフェイスのエンデュラストレイル、しっかりして安心感はあるのはわかるけど、317gもあるだけに、とにかく重ったるい。もっと軽いのにすればよかったかなあ。
前に進まなくても、上に進めばいいのか。
レースは山道を21km、累積標高1650m。走りきれるだろうか。

9.315km
5分55秒/km
55分9秒
622kcal
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2017年04月27日

ハートアイランド点描 〜沖縄・黒島2016A

宿の夕食に春巻が出てきて、他もチャンプルーとかラフテーそばとかではなく、揚げ物とかタレのかかった肉とか、手のこんだコース料理のような品目だったので不意を衝かれたが、主人が元中華の料理人と聞いて、合点がいった。

20人ぐらいは座れそうなテーブルの片隅に4人。秋田から来たという30代後半ぐらいの夫婦はもう何度も黒島に来ていて、今回は釣りが目的だという。国の登録有形文化財の伊古桟橋は釣りの名所で、何とかという南国の魚を狙いたいと話した。真っ黒に日焼けした小太りの青年は石垣島から来た20代。居酒屋で働きながらダイビングをしているがそれは夏の話で、冬は北海道でアルバイトしながらスキーをするという生活をしている。今回は休みが取れたので、たまたま来たことがなかった黒島で過ごすことにしたという。「こう見えて暑さは苦手なんすよ」と、ご飯を何杯もおかわりしながら説得力のないコメントをして、場の空気を和ませていた。

何をしに来たのかと自分も聞かれ、「牛が人より多いと聞いて、沖縄っぽくない風景を見てみたかった」などと自分でもよく分からないなと思いながら答えたが、長野から来たという点はインパクトがあったらしく、山や寒さなどに関していくつかの質問を受けた。

食事が終わり、宴会でも始まるのかなという期待に反して3人が部屋に引き上げてしまったので拍子抜けして、といってやることもないのでテーブルでサービスのコーヒーを飲みながらテレビを見ていると、奥さんと一緒に片付けをしていた主人が厨房から出てきた。

「長野って、冬に花火大会やるんだよね」と、突然言われてピンと来なかったが、しばらくして、えびす講のことかと思い当たった。25年ぐらい前、料理人の修業時代に仲間の結婚式のために長野に行ったことがあって、花火のこともその仲間から聞いたという。

横浜の中華街にある四川料理の有名店で修業したという主人は、東京生まれの50歳。顔も体も引き締まっている。ショーケンの昔のドラマ「前略おふくろさま」に出てくる板前のような、凛としたたたずまい。標準語の静かな語り口で、こちらの質問に丁寧に答えてくれた。26歳の時、仲間のつてで黒島に来て、後継者のいない民宿を引き継いだ。はじめは軽い気持ちだったが、民宿の仕事は面白く、そのうちに今の奥さんと知り合った。3人の子に恵まれ、10年ほど前に念願だった今の民宿を建てた。奥さんは外から来た人で、結婚前は島のダイビングショップで働いていた、とのことだ。

やっぱりそうだったか、あの翳りのあるスミレのような美は、と厨房の方を見るとすでに灯が消えていて、もう9時を過ぎていることに気づいた。あと少しすると星がよく見える、案内しましょうと言うのでお言葉に甘えることにして、コーヒーをおかわりしてもうしばらく主人の話に耳を傾けることにした。

「島にとけこむのは大変じゃなかったですか。その時代はそんなに移住者もいなかったでしょうし」
「大変ではなかったけど、島のことは一生懸命勉強したよ。地域の集まりや行事に出るのは当たり前、おじいやおばあに昔の話を聞きにいったりもした。そのうちにだんだん認められていったというか」
ちょっと待って、と席を立った主人は、隣のリビングに立てかけてあった三線を持ってきて、調弦を始めた。「昔は若者同士集まって、よくみんなで弾いてた。そのうちに自然に覚えたよ」と、人差し指に爪型のバチを装着しながら、主人は懐かしそうに言った。

滑らかではないが、着実な指使い。素朴な響きは主人の人柄をそのまま表しているように思えた。目をつむって歌う主人の顔と指先を見ながら、登川誠仁や知名定男やBeginのCDで聴いた曲を思い浮かべたが、何という曲か、思い当たらなかった。

弾いてくれたのは、「チンダラ節」という黒島の民謡だった。琉球王朝による強制移住政策で離れ離れになった男女の悲恋の物語。石垣島へ農地開拓のために連れて行かれた娘は、野底岳に登って黒島の方を眺めながら恋人を思った。野底岳の頂上にはその娘の形をした岩があるという。この歌は黒島では誰でも知っていて、小学校の学芸会でもマーペーの物語を演じるから、子どもたちも民謡を歌えるそうだ。

興に乗った主人が、続けて「デンサー節」を弾いている途中のことだった。庭に面したガラス戸がスーっと開いて、男が入ってきた。初老に見えるその男は、無言のまま食堂の棚に並んだ泡盛の瓶を取り、手慣れた感じでグラスに注ぐ。主人は一瞥しただけで、また目を閉じて歌い続ける。グラスを持った男は冷蔵庫を開けて氷を入れると、悠然と歩いてきて私の隣に座り、一緒に聴き始めた。

「あのー、どなたなんですか」と、歌が終わるのを待って尋ねた。近所に住む友達だと、主人。料理人時代の先輩だという。蛭子能収さんを知的にしたような風貌のその男は、思いのほか人当たりがやわらかく、自分から話すわけではないが、聞けばプライベートな質問にも答えてくれた。昔から八重山の海が好きで、黒島にも何度も来ていたが、4、5年前に退職した後、地域とのつながりがある暮らしがしたいと、単身移住してきた。毎日のように夜になるとさっきのように民宿にやってきて、一緒に飲んでいるらしい。

10時半。主人と蛭子さんと3人で、星を見に出かける。民宿を出ると、むっとした熱気がまとわりついた。5分ほど歩くと、よく見える場所があるという。真っ暗な道をペンライトで照らす主人の後について、歩く。「ハブがいるからね」と蛭子さん。ハブにかまれる事故は年に何度かあり、島では夜、ハブを避けられるように街灯をつけることになっているが、民宿が多いこの集落では、客が星を見られるように消えた状態にしてあるという。

家並みが途切れ、牧場地帯に入るころには、目が慣れてきた。主人が立ち止まる。見上げる。降るような星の輝き。天の川がはっきり見えた。あれがさそり座、こっちは、はくちょう座・・・主人が差し向けるペンライトの光の筋が、漆黒の闇の中を一直線に延びていく。寝転がって見られればいいんだが、ハブの危険があるから、と主人。昔、鳩間島で見た星空を思い出した。鳩間島にはハブはいない。だから港で寝転がって見た。圧倒的だった。流れ星がよく見えた。数分にひとつ。ずっと数えていた。あの時一緒に見た人は今、どうしているだろう。もう10年以上も前の話だ。

主人も蛭子さんも、黙っていた。3人がそれぞれに空と向き合い、自分と向き合う時間。しばらく待ったが、流れ星は見えなかった。
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2017年04月24日

ミッドナイトラントレ日記305 「葉桜」

ひさしぶりに善光寺コースへ。周辺の公園の桜はもう、終わりかけていた。
前に来たのは確か・・・そう、お寺の門に「長野マラソンの健闘祈ります」みたいな立て看板があって、その看板の勧めに従って境内にある「仏足石」を触ってお参りしながら、「あと1週間か」と思ったから、4月10日ごろだ。あのころはまだ公園の花は咲いていなかった。
ぼーっとしていると、季節はどんどん通り過ぎてしまう。

仏足石(ぶっそくせき)は、お釈迦様の足跡を刻んだ石で、触ると健脚にご利益があるという。お守りもあるらしいから、こんど昼間に行って買ってこよう。

10.789km
6分11秒/km
1時間6分50秒
721kcal
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2017年04月23日

「養殖は文化である」〜27歳の企画展

宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館で23日まで、企画展「養殖あれこれ〜人と海の営み〜」が開かれている。ワカメやカキなどの養殖で使われるはえ縄式の養殖施設や漁具などを展示。同市など三陸沿岸で盛んな養殖漁業の歴史と現状を、写真や図解で分かりやすく紹介している。

企画展を担当する学芸員のKさんとは、去年の「週末は気仙沼。」ツアーで知り合った。現在27歳のKさんは福井県出身で、富山県の大学で民俗学を学び、2014年に同美術館に就職。特にやりたいことがあって気仙沼に来たわけではないが、研究テーマを探して地域をめぐるうちに、民俗学的視点から養殖をとらえてみようと思い立った。ツアーを一緒に回りながら、そんな話を聞いた。

気仙沼や南三陸の漁師を訪ねて話を聞いたり、仕事を体験させてもらいながら、2年にわたって企画展の取材を重ねたというKさん。ツアーへの参加もその一環で、気仙沼市浦島地区の漁師に話を聞き、カキやワカメ養殖の様子を写真に撮って熱心に記録していた。企画展では、浦島地区の漁師に借りた漁具も展示している。

あれから約1年。さらに現場を歩いて資料を集めたKさんは、養殖を「人の血が通った文化的営み」と位置づけ、学芸員になって初めて担当する企画展に反映させた。
「養殖というと同じものを大量生産するというイメージがありますが、そうではありませんでした。自然に対して人間が働きかける、それに対して自然がリアクションする。そこには人間と自然の対話があるのです」
養殖は、取ってくるのでなく、育てる漁業。その点で農業に近いという。

展示では、カキやワカメ、コンブ、ホヤ、ギンザケなどの養殖の工程を写真やイラストで説明するほか、「養殖業の文化誌」として、それらの産物の地域での食べ方も紹介。さらに、公害や経済発展、東日本大震災と養殖との関係についても、パネルで詳しく言及している。

養殖とは、人間が自然に働きかけ、自然を耕す(CULTIVATE)営みであり、文化(CULTURE)の一部である、と言うKさん。「養殖を水産学や産業としてでなく、文化の視点でとらえる展示は、たぶん日本初の試み。地域の人が身近な自然とのかかわりを考えるきっかけにしたい」と意気込む。新しい土地に根を下ろして生きようとする若者の頼もしさ。そのきらきらする目は、1年前よりさらに輝きを増しているように見えた。






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ミッドナイトラントレ日記304 「再開」

あのぐらいの記録なら、そんなに練習しなくても出たんじゃないか。
という疑念は胸にしまって、また走り出す。
大した効果がないとしても、続けてよかった、と感じる時がきっとある。
そう信じて。

9.065km
6分4秒/km
55分8秒
604kcal
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2017年04月18日

無念のホーム戦、長野マラソン

青い空、満開の花、そよぐ風、白く輝く北アルプス。
最高の春の日はしかし、ミッドナイトランナーには厳しかった。
長野市の最高気温、23.9度。
この春一番の暖かさ、なぜこの日に。

序盤は順調だった。うららかな日が気持ち良かった。
しかし25kmすぎ、体がじわじわと変調をきたす。
脚がだるくて前に出ない。肩が凝って腕を振れない。
「次の給水所までは走ろう」と言い聞かして耐えていたが、最後の10km、千曲川の堤防道路では、歩く時間の方が長くなってしまった。

抜かれるのにも慣れ、やぶれかぶれになっていたラスト3km。
「もう少し、がんばろう」。
後ろから来た男性ランナーに背中を叩かれ、はっとした。
そうだ、走らなければ。そのためにここにいるんだから。
残った力を振り絞って、ゴール。
記録は去年より50秒遅れ。なんとか3時間台を確保して、少しほっとした。

去年は風と雨、今年は暑さ。毎年なんだかんだと言い訳をしたくなる。
でも条件はみんな同じなのだ。
結局は、与えられた条件に対処し、最善を尽くすという基本的なマインドが何も身に付いていないということだ。

職場の仲間のHさん。3人の子育てをしながら練習して自己ベストを更新した。休みが取れなかったMくん。前日夜中まで仕事をして挑み、完走した後、また仕事に向かった。それから、4年連続7回目のスペシャルゲストの高橋尚子さん。スタートで激励し、途中でハイタッチし、競技場では最後まで、何度もランナーを迎えに行き、手をつないで一緒にゴールしていた。それぞれの立場で頑張ったみなさんに、本当におつかれさまと言いたい。


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2017年04月13日

ミッドナイトラントレ日記303 「秒読み」

週の後半に入った。長野マラソン、いよいよ迫る。
深呼吸を心がけ、上半身と下半身の連動を確かめながら走る。
さて、残された約75時間5分、4505分、270300秒。
走るべきか、走らざるべきか、それが問題だ。

10.379km
6分14秒/km
1時間4分42秒
693kcal





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2017年04月12日

ミッドナイトラントレ日記302 「花の命の短さよ」

真央ちゃん引退。
もう咲けない。26歳で決断しなければならないとは。
成長すると跳べなくなるというフィギュアの女子選手。
スポーツの中には、足し算ではなく引き算の世界もあるのだ。
大人になって、失ったものは大きい。
でも、これから得るものはもっと大きいはず。
なんてね。
まだ何も決断していない43歳が。

9.761km
57分27秒
5分53秒/km
647kcal


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2017年04月11日

ミッドナイトラントレ日記301 「1週間前、悩みは尽きない」

地元紙に長野マラソンの出走者名簿が掲載された。いつの間にか、道路には大会当日の通行止めの看板が立っている。そうこうしているうちに、1週間を切ってしまった。最大の目標だから最高のパフォーマンスを発揮したい。そう思うほど、次から次に気になることが出てくる。

まず、調整の仕方。疲労を残してはいけない。これは絶対の条件。といって、何もしないと感覚を忘れそうで不安。要するに、疲れない程度に走って現状維持を図ればいい。だとすると、どの程度のスピードと距離が適切なのか。それを何日やるのがいいのか。見極めが難しい。先週末の前回トレーニングでは19km走って2日間疲れが残った。だからそれはやりすぎ。それはわかった。

次に、靴下問題。薄すぎず、厚すぎず、キツすぎず、ユルすぎず。練習では厚いのを使ってるけど、本番では地面のレスポンスを感じたい。でもフルというのを考えると、あんまり薄いのは脚への負担が心配だ。さらに言うと、滑り止めつきを履いた2月の愛媛マラソンでは、足の裏の皮が剥けてしまった。だから余計なものがついてない方が良い。それほど難しい注文ではないと思うのだが、これらすべての条件を満たすものがなかなかなくて、いまだに見つけられずにいる。

それから、ウェア。アシックスの着慣れた水色の半袖にするか、めったに着ないザ・ノースフェイスのノースリーブにするか。シューズはいつも大会で履くスカイセンサーでまあ良いと思うが、練習で使っている少し底厚のゲルフェザーなら、下半身のダメージが抑えられるかもしれない。あるいは逆転の発想で、思い切って履いたことのない上級モデルのターサージールにしたら新しい世界が開けるかも・・・それを買いに行く時間はないのだが。

たとえば4年に1度のオリンピックを目標にする選手が、本番を前にした時の心中はどんなものか。きっと本人にしかわからない、細かい悩みがいろいろとあるのだろうな。

12.158km
6分33秒/km
1時間19分45秒
815kcal
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2017年04月07日

ミッドナイトラントレ日記300 「ハイジの解放感」

ウインドブレーカーも手袋もなしで走るのは、ほぼ半年ぶり。
何と身軽なのだろう。この解放感、おじいさんに預けられることになり、初めてアルプスを訪れたハイジが、その美しい風景を見た途端、モコモコしたした服を全部脱ぎ捨てて、下着だけになって駆け出した時も、こんな気分だったのだろうか。

時間に余裕があるので、長めに。そういえば愛媛以降の課題はLSDだった。十分取り組めたとはいえないなあ。長野マラソンまで、あと10日。

19.371km
6分3秒/km
1時間57分14秒
1289kcal
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2017年04月06日

加川良の「教訓」

加川良、突然の訃報。
学生のころアコースティックギターを始めて、最初に練習した曲のひとつが、「教訓T」だった。
コードは四つだけだし、詞も明快。あと、あの明瞭な歌声。何度か聴いたり弾いたりするうちに、覚えてしまった。
70年代に流行した、反戦フォークの代表曲。
そのころは、そんなふうに思っていただけだった。
でもその後、人生を重ねてきて、この歌をふと思い出すというような場面がたびたびある。

「命はひとつ 人生は1回
 だから 命を すてないようにネ」

何かのために自分を捧げるという行為は、美しいかもしれない。
でも、その結果、何が残るというのだろう。
美しさは誰が判断するのか。美しいと評価される保証はあるのか。
そんな、よくわからない美しさを信じてはいけない。
それよりも、いやだこわい、と這いずり回って逃げる方がいい。
むしろ自分の感情を正直に表す方が、勇気がいる行為なのではないか。

「青くなって しりごみなさい
 にげなさい かくれなさい」

この曲は「御国」について歌っているけれど、そのカッコ内は何だっていい。
たとえば「会社」だったらどうだろう。
五輪選手にとっての「日本」だったらどうだろう。
カッコの中身は違っても、その「何か」のために自分を犠牲にする人は、この21世紀の世の中にも相変わらずたくさんいるではないか。

自分の命より大事なものはない。単純明快で難しい「教訓」は、こんな時代だからこそ参照されるべきなのかもしれない。



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2017年04月05日

ミッドナイトラントレ日記299 「剣の作法と蘭とラン」

病み上がり。せきは出るけど、再開。あまり休んでもいられないので、無理のない程度で。
いま読んでいる里見蘭の「君が描く空」という小説に、こんな記述があった。

「・・・まっすぐに速く振り下ろすためには、振っている間は余計な力を入れないことが大事だ。振り下ろしたあとは、竹刀をしっかり止める。手首を利かせるのがポイントだ。竹刀を握る力は、振り下ろした瞬間が一番強くなる。みじかく一気に手首を絞るイメージで。・・・」

大学剣道部の主将が、新入部員に素振りを教える場面。「竹刀」を「脚」に置きかえてみると、何となく走りのイメージが頭の中に現前してくる。振り下ろした瞬間とはつまり、着地の瞬間。脚を運ぶ動作は基本的には力を抜いて、着地の時に全身の骨格と筋肉を瞬間的にギュッと引き締める。そうすれば楽に長く走れるのではないか。敷衍すれば、あらゆるスポーツにおいて、パフォーマンスの良し悪しはこの、脱力と注力のメリハリにかかっているのではないか。

てなことを実践してみると、まあ、わかるような、わからないような。それでも、ギュッと締める動作が体全体の連動にかかわっていることは実感できた。ともかく、余計な動き、無駄な動きをできるだけ排除して、軽やかに駆けたいものだ。

里見蘭は、「ミリオンセラーガール」から入った。どちらかといえば少年少女向けの小説だけど、出版流通の仕組みにしろ、美大の学生生活や剣道にしろ、その世界をディテールまでしっかり描いているところが好きだ。

10.293km
5分42秒/km
58分40秒
685kcal
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2017年04月03日

ハートアイランド点描 〜沖縄・黒島2016

エメラルドの海をかき分けて、小さな高速船はエンジン全開で爆走していた。ぬるく湿った風が、デッキを吹き抜けていく。8月下旬の八重山は、まだ夏の盛りのようだった。大きなリュックやトランクを脇に置き、旅人たちが静かに景色を眺めている。青い空に白い雲、間近に見える緑の森は、竹富島か。南国の濃い色彩に目が慣れてきたころ、突然船がエンジン音を低めた。石垣島を出て約30分、黒島の桟橋がすぐ目の前にあった。

黒島は、周囲約12.6km、面積約10.02平方km。石垣島の南西にあり、島の輪郭から「ハートアイランド」の愛称で呼ばれる。畜産が盛んで、人口202人に対し、牛の数は2452頭(2016年8月31日時点)。平らな島のあちこちにあるのは肉牛の生産牧場で、飼われているのは黒毛和牛の母牛と子牛だ。子牛はここで生まれ、10ヵ月間育てられた後、日本各地に出荷される。そうして出荷先の肥育牧場で育てられ、その土地のブランド牛になるのである。

桟橋には、島じゅうの民宿の送迎車が待ち構えていた。予約した宿の車を見つけて名乗ると、おかみさんが「ようこそいらっしゃいました」と迎えてくれた。同乗の客は、30代くらいのカップル。私が助手席に乗り込む。宿は港とは反対側の海岸の集落にあり、車で10分ほどかかるという。

港を離れるとすぐ、道の両側に緑の平原が広がった。柵の向こうには、草を食む黒い牛の群れが見える。
「左の方を見てください。ずっと向こうに四角い建物が見えますね。あれが水道の施設です」
車をゆっくり走らせながら、おかみさんが説明してくれる。まだ若くて、鼻筋の通った横顔。どことなく翳りがある面差しに、ちょっとドキドキしてしまう。
「水道は西表島から引いています。黒島には水源がないんです。40年くらい前に水道ができて、島はやっと水の心配をしなくてすむようになったんですよ」
カップルの女性は、もう10回くらいこの島に来ていると言った。のんびりした雰囲気がいいという。八重山諸島の中でも珍しい、リゾート施設がない島。まるで北海道のようなこの広大な風景の中に、どんな暮らしがあるのだろうか。

宿の建物はまだ新しく、居心地が良さそうだった。広々とした前庭から玄関を入ると広い食堂、その奥に浴室があり、2階に6畳ほどの和室が8部屋並んでいる。食堂の泡盛やお茶、コーヒーは飲み放題。庭に並んでいる自転車も自由に乗っていいというので、さっそく使わせてもらうことにする。部屋に荷物を置いて出かけようとすると、おかみさんが言った。
「カラスに気をつけてください」
島では数年前から、観光客がカラスに持ち物を取られたり、荒らされたりする被害が頻発しているという。
「自転車の前カゴの荷物が危ないです。特にお菓子とか、食べ物は外から見えないように注意すること。もし被害に遭ったら、どんなに小さなことでも、ここに書いてくださいね」
おかみさんが見せてくれたノートには、具体的な事例と日付が宿泊者の字で記されていた。月に何度かはそういう被害があるようだ。

乗りやすそうなママチャリを選んで、こぎだす。宿のある仲本集落の家並みを抜けると、「黒島研究所」があった。黒島で産卵するウミガメの研究と展示をする施設。入館料500円を払って中に入ると、カメの生態や島の暮らしを紹介する展示室があった。屋外のプールにはアカウミガメが泳いでいて、200円で餌やりができると書いてある。研究所に餌やりは似つかわしくないようだが、ここはどちらかといえば観光施設に近いようだ。聞けばもともと環境庁関連の施設だったのを、ウミガメ保護活動をするNPO法人が引き継いで運営しているらしい。民間施設としては、収益を上げなければいけないということなのだろう。

研究所を出て、島の対角線上にある伊古桟橋に行くことにする。夕刻とはいえ、さすがは南国、まだ日は高い。島の中央部に向かうにつれて、視界が開け、牧場地帯に入った。車や人はほとんど通らず、静かな空気が流れている。北海道の道東あたりを走っているみたいだ。

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ふと、視界の隅に黒い影が動いた気がした。地面から急上昇して、電線にとまる。カラスだ。電線には間隔をおいて数羽ずつ。人がいないだけに、威圧感がある。ヒッチコックの「鳥」を思い出した。ここで襲われたら勝ち目はなさそうだ。

海に向かって一直線に延びる伊古桟橋は、長さ約354メートル。かつて船着き場として使われ、2006年に国の登録有形文化財に指定された、と案内板に書いてあった。白いコンクリートの桟橋。誰もいない。たもとに自転車をとめて、先端まで歩いてみる。遠浅の海はすっかり潮が引いて、黒っぽくごつごつした底が露出している。歩くと痛そうだ。ここは釣りのスポットらしいが、泳ぐ場所ではないのだろう。水たまりをのぞくと、小魚や小さなカニが見えた。

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ご飯の時間は7時。仲本海岸で夕日を見てから、宿に戻ろう。宿と仲本海岸はすぐ近く。また島を横断するように、自転車を走らせる。横断するといっても、4キロほど。この島のサイズ感、なるほど、車ではつまらないし、歩くとちょっと大変。自転車にぴったりだ。

島の中心部である東筋(あがりすじ)集落に入ると、石垣と平屋の赤い屋根の、いかにも沖縄という家並みが続く。ちなみに沖縄では「東」はアガリ、「西」はイリ。東は太陽が上がる方角、西は入る方角だからそのように読むのだという。集落を抜けると、また一面の牧草地。広い空の下で、金色に輝いている。自分は今まさに、イリに向かって走っているのだ。

IMG_6514.JPG

仲本海岸は、島で唯一の海水浴場。ただ泳ぐというよりも、シュノーケリングで有名なビーチだという。売店やシャワー室もあるが、とっくに閉まったという様子で、人の気配がなかった。こぢんまりしたビーチ。海に突き出た岩に登ってたたずんで、赤みを増していく空を眺めていると、遠くまで来たのだなあという実感が湧いてくる。今ごろ、会社では夕食に行く時間だな。今日は忙しいのかな。つまらないと思いながらも、ついついそんなことを考えてしまう。

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2017年04月02日

ミッドナイトラントレ日記298 「春なのに」

気温0度。もう4月なんだけど。
この寒さ、いつまで。
花は咲くのだろうか。

11.094km
5分44秒/km
1時間3分39秒
733kcal
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